ゴンブロブッチ

トランス=アトランティック (文学の冒険シリーズ)

国書刊行会から出版されている文学の冒険シリーズで、一番最近(だと思う)
に出版されたヴィトルド・ゴンブロブッチの小説。
ポーランドの歴史的背景に暗い私には読解上多少の無理があるよう。
しかし一筋縄ではいかない精神のねじれよう。永遠のごろつき。
そしてそこがこの作者を敬愛する理由でもある。
素直、まっすぐなだけの人生なんか犬ころだけに任せとけばいい。


このシリーズはもうかれこれ15年以上出版され続けている。
最初からシリーズが出るたびに買い続けてきたが、途中で読むのが
まったく間に合わなくなった(それでも買い続けてはいる)。
同じ出版社からの世界幻想文学大系のシリーズも、気が遠くなる位の期間で
出し続けれられてたように記憶している。セリーヌの全集も25年かかった。
いつまで出版され続けるのか、どんなものが出るのか、
そういったことの終わりが見えない、また見せるつもりもない。
あまりに長いと、始まりはいつだったのか、終わりはあるのだろうか、
目的は何だったのか、出版している方も読者もわからなくなってくる。
おそらくそれが出版の目的ではないかだろうか。


文学はもともと何の答えも教えてくれるものではない。
この事実をわかっていない人、
有用性を重視する人々はもともと芸術の世界の住人ではないのだ。