ブロークバックマウンテン

ishidatax2006-04-10

特に観に行くつもりはなかったのですが、
日曜朝刊に川本三郎さんの書かれた
アメリカの孤独と西部」を読んだら、
どうしても観ざるをえなくなりました、
ブロークバックマウンテン。


孤独な若いカウボーイが、ブロークバックマウンテンで
恋におち結ばれる。それから20年余りの男同士の恋愛の歴史を
描いたものです。


男の同性愛者でも普通に女性とセックスして
結婚して、生活していきながら、年に数回逢瀬を重ねていく。
一応事件らしきものは起きるのですが、比較的淡淡と物語りは
進んでいきます。その淡淡と進んでいく物語のなかにも
二人の強い思慕の念が感じることができ、美しい自然との対比も
より孤独な魂を引き立たせます。


号泣するような物語ではないのですが、とても切なく物悲しい。
アメリカの60年代から70年代にかけては同性愛者で
あることを周りの人の悟られることは、死を意味しているような
過酷な状況だからこそ、より強い絆で結ばれ続けたのでしょう。


この風景に書かれているアメリカが、どこまで真実かを検証する
すべは私にはありません。しかしここで取り上げられている西部の風景に
感じる物悲しい郷愁は、世界の経済の覇者の姿はどこにもありません。


私はアメリカは基本的に嫌い。
しかしここで描かれている風景、郷愁には不思議な
共感やポエジーを感じます。
おかしな国です、アメリカって。
全世界の富を吸い尽くして豊か、でも一方でとても寂しく孤独。


アカデミー賞では前評判ほど賞を独占とはいきませんでした。
投票で入れなかった人達の気持ちもなんとなく判る気がする。
自分たちの国の原風景、映画とはいえ観るのはやるせないです。