灯台守の恋

ishidatax2006-01-15

フィリップリオレ監督「灯台守の恋」を名古屋の名演小劇場で鑑賞。
最近ではめっきり珍しくなったフランスの大人の恋愛映画です。


灯台守のリーダーであるイヴォン、その妻マベ、そのマベに恋する
帰還兵のアントワーヌの3人の織り成す人生模様が物語の柱。
そこによそ者を受け入れない、ブルターニュ地方の住民との確執、
マベに対する横恋慕なんかも絡まって物語は進んでいきます。


私が一番共感を覚えたのは、愚直で誠実な寝取られ男イヴォンを
演じていたフィリップトレトン。
悲しいまでの愚直な誠実さ、友人を守り妻を愛する。
灯台守の間、椅子だけを作り続ける習慣が、このキャラクターの
性格を強く印象づけてます。


サンドリールボネールの知的な美貌、グレゴリデランジュールの翳を
感じさせながらのさわやかなハンサムぶりもよかったですが、
フィリップトレトンの演じるイヴォンがこの映画を
すごく奥行きがあるものにしてる。
漂う物悲しさと、仲間から疎まれることを恐れない不器用な正義感、
この演技が素晴らしかったです。


物語の終盤、妻が働いた不貞を知ったイヴォンとアントワーヌの
2人で灯台守を行うのですが、荒れ狂った猛々しい海に
たたずむ灯台を容赦なく襲う強い突風と波。
静かな登場人物の内面に荒れ狂う猛々しい感情の嵐をあらわす
この部分の表現も秀逸だと思います。


このもの静かで激しい内面の情熱を秘めた大人の恋愛映画は、
国技としての恋愛映画を誇るフランス映画の
数少ない最近の秀作でしょう。


しかし日曜日の最終上映とはいえ、私以外3人のお客さん。
ゆっくり観れるありがたさと、なぜもっと入らないんだといった不思議。


私がよいと思ったが最後、絶対名古屋ではお客さんははいらない。