17歳の風景〜少年は何を見たのか

ishidatax2005-09-17

若松孝二の「17歳の風景」を若松孝二
オーナーであるシネマスコーレで観てきました。
岡山で母親を殺したあと日本列島を
北上逃亡して、秋田で逮捕された
17歳の少年の事件を
モチーフとしてとられた映画です。


黙々と雪が舞う中を自転車をこぎ続ける。
その逃亡路のなか戦争体験者の老人、無理やり韓国からつれてこられた
老婆の出会いのエピソードを挟みながら、母親らしき女性とバットを
振り下ろす映像が挿入される。


答えらしきものは一切表現されず、殺風景な北陸の風景、
喜怒哀楽をまるで表さない少年の表情、ハアハアとただ繰り返される
息遣い、バットを振り下ろしての(おそらく)撲殺音。
さすがに最初、少年達の会話で物語の枠組みは示され(これさえも邪魔な
気がする)ますがそれ以外説明されるものはまるでなし。


彼は何を思って、何を感じていたのか・・・
私にも当然解らないし、ただ想像するだけ。


「ぜつ、ぼうぼう、ぜつ、ぼうぼう」


友川カズキの挿入される詩が恐ろしいまでの虚無を
すごい迫力で感じさせてくれました。
この人の存在はまったく知らなかったです。
こういう発見があるから自主上映の映画は
観なくてはいけないんですよねぇ・・