善き人のためのソナタ

ishidatax2007-03-21

善き人のためのソナタ」を観てきました。
地味な映画ですがなかなか評判がいいようです。
1984年の東ドイツですからそんな前の話では
ありません。実話をもとに製作された映画です。


映画の内容はというと、反体制と目される芸術家を
盗聴してるうちにその人間性に触れ、自分たちの
属してる体制の非人間性や非合理さに目覚めて
いくといった話です。


主演のヴィースラー大尉を演じてる
ウルリッヒ・ミューエが冷徹な感じの秘密警察の
将校といった役どころで映画が始まるのですが、
これが意外とすぐにいい奴になってしまいます。


脚本はすごくよくできているのですが、
正直あまりに早く「ころんで」しまうので、
今ひとつリアリティにかけてしまったように
私には思えました。もう少し自分の体制に対する
信頼との葛藤があってもよかったような気するし、
実際あったはずでしょう。


その今ひとつに感じた部分は、芸術家、役者の
表現の手段を取り上げられてしまう恐れと、体制との
葛藤についても同じ。もっともっと本当は苦しいはず。
その点も、この映画を観た感想として「よく書けた
脚本」だといった映画レベルに感じてしまう原因。


この映画のイントロダクションを読むと4年をかけて
徹底的にリサーチしたとか。こういった点が、さすが
ドイツ映画といったところでしょうか。けどドイツ映画を
観てたまに思うのがこういったところが、本物の文芸映画を
なかなか創作できない理由のような感じがします。
つまり工業製品なのです。


いい材料、いい役者、いい脚本、時間もお金もかけている。
でもって10点中う〜ん、6点・・イヤ6.5点
そんな感じ。


私はもっと、ぐちょぐちょ、どろどろ。
ひゃーやめて!ってのが観たかった。